縦歩きの蟹がいるって本当なの?
カニと言えば横に歩く姿をイメージする方がほとんどだと思います。
それだけカニは横歩きするものという認識があります。
ですが、すべてのカニが必ず横歩きするのかというと決してそうではなく、縦歩きするカニもいるのです。
世界規模で見ると非常に多くの種類のカニが縦に歩くことができます。
日本国内で見られるカニに限定すると「ミナミコメツキガニ」というカニが縦歩きすることで知られています。
エビ目ミナミコメツキガニ科ということでエビの遠い親戚とも言えます。
主に日本の南の地域で見られるカニで、実際に見たことがあるという方もしるかもしれません。
素早く縦に歩く姿は目の当たりにするとびっくりするものです。
カニによっては縦にも歩けるというわけですが、そもそもなぜカニは横に歩くことが多いのでしょうか。
はっきりしたことはわかっていないのですが、カニの独特の形が原因ではないかと考えられています。
カニは10本の足を持っており、そのうち2本はハサミとして機能していますので残りの8本がいわゆる足に該当しています。
カニの足は1本1本の間隔が短く、縦に進もうとすると足同士が絡まってしまうのです。
これが多くのカニが縦ではなく横に歩く理由なのではないか、専門家などはそう推測しているようです。
実際、縦に歩くミナミコメツキガニは他のカニと比べて足と足の間隔が広く、絡まりにくい構造になっています。
そのことを考えるとこの説はあながち間違いではないと言えるでしょう。
また、縦は縦でも前ではなく後向きに歩くカニもいます。
アサヒガニなどが有名で、こちらもやはり足の間隔の問題から横や前ではなく後ろがもっとも歩きやすいからだと言われています。
私達からするとなんとも歩きにくそうですが、カニにとってはそれぞれがもっとも歩きやすい歩き方をしているわけですね。
こうした縦に歩くカニは食用として利用されることがほとんどないことも特徴になるでしょうか。
私達が普段食べているズワイガニやタラバガニ、毛ガニなどは全て横歩きするカニ達です。
こうしたこともカニは横歩きするものというイメージが強くなった原因ではないでしょうか。
実はこうした横歩きするカニも縦に歩かせる方法があります。
それが目を回すことです。
カニを回転させて目を回すことで方向感覚が狂うのか、いつもなら横歩きするカニも縦歩きするようになるそうです。
少し可哀想な気もしますが、機会があったら試してみるのもいいかもしれません。