花咲ガニの漁獲量の推移を見てみよう
茹でると鮮やかな朱色になり、パッと花が咲いたようにも見える花咲ガニですが、国内では根室半島の北の一部と釧路東のほんの限られた場所でしか獲れません。
乱獲を防ぐためにも根室では漁の期間を制限しているのですが、漁獲量は年々減少しています。現在は、100tから300tの間で推移していますが、100t未満になることもあります。
花咲ガニは、昔はそれほど貴重なカニだったわけではありません。生息しているのは沿岸部の浅い海域なので、漁も簡単で獲りやすかったのです。1977年以前は年間1,000tも漁獲量があったのです。これは現在の約10倍の量にあたります。
それがなぜ現在の漁獲量までに推移したのかというと、それは200海里制度導入がきっかけになっています。200海里制度とは陸地から200海里(約370km)までに資源開発を制限する決まりです。花咲ガニは北方領土からサハリン沖に多く生息していることもあり、獲れる場所が減ってしまったわけです。
また、一度は乱獲によって数が減り、3年間禁漁が行われていたときもあります。その時に人口育成した個体を放流する試みもありました。現在も大きさ8cm以上のオスのみ捕獲対象とする制限がありますが、そのせいで返ってオスメスの相対バランスが悪くなってきています。
そのような経緯から、花咲ガニの漁獲量の推移を昔と比べると激減しているのです。流通する量も減ったので、希少価値まで生まれてきています。国産は入手しづらいとのことから、ロシア産の冷凍物が多く出回ることがあります。