蟹味噌と蟹の脳ミソの違い
カニと言えば身はもちろんですが蟹味噌も美味しく食べられます。人によっては蟹味噌の方が好きということもあるのではないでしょうか。たしかに、蟹味噌の濃厚な味わいはやみつきになる美味しさです。
この蟹味噌、カニの脳ミソだと思っている方も多いと思います。私自身蟹味噌はカニの脳ミソだと考えていました。同じ「ミソ」という言葉が使われていますし、あまり気持ちのいいものではありませんが見た目も脳ミソのような感じがします。ですが、実際には蟹味噌と脳ミソはまったく別なものです。
蟹味噌はいわゆるカニの内臓で、肝臓と膵臓に該当しています。人間のように肝臓と膵臓が分かれておらず、1つの臓器として機能しているため総称して中腸腺と呼ばれるのが一般的です。
つまり私達は脳ミソではなくカニの内臓を食べているというわけです。牛や豚もホルモンなどの内臓を食べることがありますが、それと同じですね。
この蟹味噌は時期によって大きさが違い、これが味に大きく影響しています。卵巣が成熟する過程で大きくなり、卵巣が完全に成熟するころには小さくなると言われています。
ですので蟹味噌をできる限り美味しく食べたい場合は卵巣が成熟しきってしまう前のカニがベストだと考えられます。とはいえ私達がそうしたカニを選ぶことができるわけではありませんので、お店の人などに聞いて蟹味噌が詰まっているものを購入するのが最善の方法になります。
また、すべての蟹味噌が食べられるわけではありません。カニの代名詞とも言えるタラバガニの蟹味噌は基本的に食べません。なぜかというと単純に美味しくないからです。
タラバガニは身を楽しむカニというわけです。一方でズワイガニや毛ガニなどは味噌も美味しく食べられますので蟹味噌が好きという方はズワイガニや毛ガニを選ぶようにしましょう。
蟹味噌が脳ミソではないことはわかりましたが、じゃあカニの脳ミソはどこにあるのでしょうか。カニを食べてもそれらしい部分は見当たりません。実はカニのような節足動物には私達がイメージするような脳ミソはありません。頭部神経節と呼ばれる器官がいわゆる脳に該当し、カニの場合は目や口の近くに存在しています。
生きたカニを茹でる際にカニの口部分を強く打ちつけて脳震盪を起こさせるのですが、これは脳に衝撃を与えるためです(魚を捌く時なども頭を叩きますが、あれと同じですね)。そのため甲羅を外したりしても脳ミソが見えることはありませんし、当然食べることもありません。